離婚協議中です。自分名義の家を売ると、売れたお金の半分は妻のものになりますか?
離婚に伴って財産の換価処分がなされる場合の、売却代金の取り分を巡る質問が実に多いですね。
今回のケースは自分名義の家を売るとした場合のものですが、少なくとも無条件で売却金額の半分が妻のものになるということはありません。
その不動産を入手した経緯や離婚を巡って夫婦がどのような状況にあるのかも関係してきます。
妻に取り分が発生する場合とは
妻が家の売却代金の一部を受け取る権利が発生するのは、その財産の取得に対して何らかの貢献(寄与)がある場合です。
基本的に婚姻中に購入したものであれば妻の貢献は認められます。
夫婦で協力して稼いだお金で買った財産ということです。
労働して会社から給料をもらうのは夫であっても、それを支える妻の貢献失くしては同額の給料を稼ぐことはできないという考え方からくるものです。
この場合の貢献度は話し合いで決定しますが、多くのケースでは50%としますので、その場合は売却代金の半分が妻のものになります。
貢献度については争いがあるケースも多くあり、例えば家事を一切しない妻の貢献度は下がりますし、共働きで同額の給料を稼いでいるのに夫の家事への貢献度が低ければ逆のパターンになります。
話し合いで決着しなければ調停や裁判で決着をつけることになります。
これらは財産分与という名目で清算が行われるもので、その不動産等の名義人が誰かということは関係なく、貢献度に応じて取り分が分けられます。
妻に売却代金を渡さなくて良い場合とは
もしその家が、結婚前に夫が自分で購入したものである場合、または婚姻中に取得したものであっても相続のために承継したもの、あるいは親族などからの贈与物である場合には妻には取り分はありません。
なぜならこれらのケースでは妻の貢献というものが一切入らないからです。
これらの経緯で入手した財産は夫の「固有の財産」として見られるので、財残分与の対象にはなりませんので妻に取り分は発生しないのです。
慰謝料とは別物であることに注意
今回のケースで、もし夫が妻に対して不倫などが原因での慰謝料の支払い義務が発生している場合、その費用を支弁しなければなりません。
もし預貯金等からの支弁が出来ない場合には、別のところからお金を調達しなければなりません。
その場合例えば家を売った金で支払うということになる可能性はあります。
しかしこれは妻の不動産価値に対しての取り分ではなく、単純に夫に対しての請求権という形になります。