土地付き住宅を売りたいが、増築分が未登記です。不動産全体を売ることはできますか?
家屋は、その所有者の生活状況や家族環境の変化などに合わせて増築されることがあります。
増築部分は、法律上登記義務が生じますが、何らかの事情で増築部分の登記がされないケースも稀にあります。
その時の権利者が、そのまま住んでいる分には何ら問題ありませんので、先延ばしにされてしまうということもあります。
しかし、いざその家を売却しようという時には、増築部分が問題になります。
今回は、土地付きの建物で、過去の増築部分について、登記がされていない場合を考えてみましょう。
未登記のままでは売却は難しい
増築部分の登記がされていない建物は、譲渡するのが難しくなります。
買い手が納得してくれれば良いですが、まず納得しないでしょう。
というのも、お金を出してその土地家屋を買っても、未登記の部分については、そのままでは自分のものだと第三者に主張できないからです。
そのような瑕疵のある不動産ではなく、当然売主には建物全体が完全に登記された、安全な物件の状態にして売るように求めるはずです。
これをしておかないと、未登記部分について、権利を主張する第三者が、万が一現れた時に大変なことになります。
そしてもうひとつ、未登記部分がある物件については、住宅ローンが組めないということです。
土地付き住宅ということは、かなり高額になるでしょうから、買い手がキャッシュを用意できなければ、住宅ローンを利用することになるでしょう。
住宅ローンの審査の際、建物に未登記部分があると、銀行は承諾しません。
完全に登記された、安全な物件でないと担保としての安全性が確保されないからです。
どんな手続きが必要か
増築部分の登記をするということは、手続き上は「建物表題変更登記」というものになります。
申請義務を負うのはその建物の所有者です。手続きには一定の期間と費用がかかってしまいます。
測量などが入るためです。費用的には10万円弱になることが多いようです。
また、心配されることが多いペナルティですが、確かに法律上は増築に伴う変更登記がされない場合は、一定の過料が課せられる定めがありますが、実質これが発動され過料がなされるケースはほとんどないようです。
というのも、過去には何らかの事情で手続きを失念したとしても、正直に申し出てきた者に過料を課すというのは法務局の立場としてはやりにくいからです。
これがされてしまうと、その後正直に申し出る者はいなくなってしまうかもしれませんからね。