住宅の売却益が出ても、確定申告しなければ税金を支払わなくていいと言われた。本当ですか?
不動産を売るとまとまった大きな金額を手にすることができますが、残念ながら売却によって利益が出れば、その利益に対して税金が課せられます。
単純に売れた金額全てが収入になるわけではありませんから、諸経費などを計算すると、実質の利益が出ない場合も多いので、その場合は課税されません。
しかし、その実質の利益が出た場合には課税されるので、納税手続きをする必要があります。
もし、誰かから確定申告しなければ税金を支払わなくても良いなどと言われても、それを信用するのは危険です。
不動産売却に伴って発生した所得を確定申告しないと、何故危険なのか見ていきます。
不動産売買の情報は自動的に税務署に流れる
所得が発生したことを税務署が捕捉できなければ、黙っていれば課税されないのではと考える人もいるでしょう。
しかし、不動産は大きな金額が動くので、徴収できる税金も多くなりますから、国税当局としては、最も注意深く見ている分野の一つです。
しかも、国税当局は法務局と連携しており、不動産売買が行われた時には、登記情報が自動的に税務署に流れるようなシステムになっているのです。
ですから、基本的に自主的な申告制を取っているわが国でも、申告しないとばれる仕組みになっています。
不動産を売却した事実を税務署は捕捉していますから、売った人が確定申告していないと税務署から通知が届きます。
しかし、この通知はある意味脱税や申告忘れを牽制するためのものと言えます。
なぜならば、冒頭で述べたように、取引はしても実質の儲けが出ていなければ申告の必要はないからです。
実質の儲けが無くても、確定申告した方がよいこともある
確定申告は面倒なので、できればしたくないという気持ちは当然あります。
儲けが出ていなければ、法律上は申告の義務はありませんから、するしないは自由ですが、税制度には、特例として確定申告をする人に恩恵をもたらしてくれる制度が複数存在します。
例えば、居住用不動産の買い替え特例では、古くなった自宅の買い替えの為に前住居を手放した場合には、その取引で損失が出た場合には損益通算や繰越控除ができるようになっています。
損益通算とは、他の利益から損失分を減算することで、利益額を計算上少なくし、利益にかけられる税金を減らせる制度です。
また、繰越控除とは、その年分だけでなく翌年や翌々年など、複数年にわたって損失分を利用できるものです。例えば、来年の利益分から今年の損失額を減算することで、来年の税金額を減らせるというものです。