購入したばかりの家を売却したいです。両親から住宅購入資金贈与を受けており、その申告前に売却してもいいですか?
住宅取得のための資金を親などの一定の尊属から贈与を受けた場合には一定の非課税制度が利用できます。
これは高齢者に留保されている資産を現役世代に移行させるための政府の国策上の減税制度ですが、
この適用を受けるためには税務署への申告が必要とされています。
本件の場合は申告前の売却ということですので、どのようなことに注意する必要があるのか見ていきましょう。
売却自体は自由に行える
住宅取得資金の贈与を受け購入した住宅を売ることを禁止する規定は今のところありません。
購入したばかりであっても同様です。
ですから何らかの事情で売却が必要になった場合は自由に売却することができます。
心配なのは住宅取得資金の贈与による優遇税制を受けることを前提に購入した物件を短期で売却することによる、
何らかの税務面でのデメリットが発生しないかということでしょう。
そこで考えられるデメリットについて個別に見ていきます。
住宅取得資金の贈与の優遇税制は適用になるのか?
この制度の適用要件の中に、
「贈与の翌年3月15日までに住宅の引渡を受け、同日までに居住していること、又は居住することが確実であると見込まれていること」、
及び「贈与を受けた年の翌年 12 月 31 日までにその家屋に居住していること」「贈与税の申告期限内に申告をすること」
という要件が含まれます。
これにより、住宅取得後あまりにも短期間で売却した場合、最初の二つの要件を満たさずに適用を受けられない可能性も否定できません。
この判断は税務当局により行われるので実際に居住したかどうかの近隣宅への聞き取り調査などが行われることもあります。
また申告の要件は期限内に申告する必要があるので二つ目の要件とバッティングすることになるので適用を受けられないものと思われます。
その他の特例税制
普通マイホームを売却した場合は3000万円までの譲渡所得について、所有期間の長短に関係なく控除される制度がありますが、この制度は本特例を受けることだけを目的としていると判断されると適用されないことになっています。
またその他一時的な目的で入居したと認められる場合も同様です。
余りにも短期間に売却した場合は税務当局の判断で適用がされない可能性もあります。
結論としては本件の場合住宅の売却は可能ですが、税務上の優遇を受けられなくなる可能性には注意して下さい。