相続した土地付き住宅を売却した場合、土地と住宅の税金は別々になりますか?
現在の日本では、不動産を含め多くの財産が、若い世代よりも高齢世代に所有され、不均衡が生じていると言われています。
中でも不動産は、親から子への相続による権利移転が生じますから、大多数の人が相続に伴って不動産を取得するという経験をします。
土地と建物を一括して相続した場合、管理ができないなどの理由で売却するケースでは税金はどのように課税されるのでしょうか。
税金の課税は、個人の所得に対して課税される
税金の課税は、土地か建物かなど不動産の種類ごとに対してされるものではなく、年間を通しての個人の所得に対して課せられます。
不動産の譲渡による収入は、譲渡所得として計算され、必要があれば課税されることになります。
ここで、譲渡所得の計算方法を見てみます。譲渡所得は、経費などを引いて計算することができるので、利益が出た分を計算上減らすことで節税することができます。
計算式としては、
譲渡所得=譲渡による収入-(取得費+譲渡費用)
となります。
取得費は、その不動産の購入代金などから減価償却費を引いた額です。今回は、被相続人が購入した時の金額が載っている契約書などの書面を探してみましょう。
というのは、売るのは相続人ですが、相続の場合の取得費は、被相続人のものを引き継ぐことができるからです。
親から相続した場合は、親がその不動産を購入した時の契約書や、その他金額が証明できる書面があれば、それを取得費に用いることができます。
見つからない場合は、概算として譲渡収入の5%とすることもできます。
もちろん、概算を用いるよりも、実際の取得費を使った方が有利になることが多くあります。
被相続人となる方は、自分の子や孫など、相続人が有利に売却できるように、購入当時の契約書などは、捨てずにしっかり保管しておくことをお勧めします。
譲渡費用とは、不動産業者に支払う手数料や登記費用、測量費用、印紙税などの負担金です。
これらを譲渡収入から減算することで、計算上の利益を減らし、節税することができます。
特別控除も利用しよう
譲渡所得が計算されると、そこに一定の税率がかけられ、税金額が算出されます。
その不動産の所有期間によって税率が変わります。
しかし、その前に特別控除を利用することで、譲渡所得を0にして、税金額を0にできる可能性を高めることができます。
住居用の家屋とその土地を一緒に譲渡した場合には、一定の要件をクリアすることで、住居用不動産の特別控除を利用することができます。
最大3000万円までを、土地と建物を合わせた譲渡収入から減算することができる制度ですので、多くの事例で、計算上の利益を0にして、税金がかからないようにすることができます。