離婚で不動産を売却。売却損が出た場合、そのマイナス分を夫婦で半分ずつ負担するようにする事は可能ですか?

124.離婚で不動産を売却して売却損が出た場合

離婚の際には慰謝料や財産分与などの問題の他に、所有する不動産の扱いで頭を悩ませることになるケースが非常に多いですね。

住宅ローンが残っている場合には、問題がさらにややこしくなるので大変です。

今回は、婚姻時には夫婦で一緒に住んでいた家を、離婚に伴って売りたいが、売却損が出てしまった場合には、相手方に半分を負担させることができるかどうかについて考えます。

住宅ローンの名義人は誰になっているのかを知る

まずは、不動産の登記簿上の所有者ではなく、住宅ローン契約の当事者は誰なのかを確認しましょう。

その契約当事者が、ローンの債権者たる銀行等に対して返済の義務を負っているからです。

もし、夫が契約の名義人であれば、対銀行の間では絶対的に責任を負うのは夫です。

ですから売却損が出た場合に、自己資金を投入して住宅ローンを完済しなければならないのは夫だけです。

妻が連帯保証人になっているなどの場合は、妻にも責任が及ぶこともありますが、そうでない場合には、契約名義人たる夫が責任を負います。

ここで、夫婦の話し合いで妻が「私が半分負担しても良い」と言ったとしましょう。

しかし、それでもローン債権者に対しては、なお夫のみが責任を負います。

妻は「夫に対して」金銭を給付するにとどまり、途中で翻意してもローン債権者には、責任を負いません。

残債の解消に用いられるのも共有財産

売却に際して損が出る場合には、その額を穴埋めしなければ抵当権を解除できないので、売ることができません。

そこで、穴埋めに用いる費用をどこから捻出するかですが、これも夫婦の共有財産から捻出されます。

名義が夫の預金となっていても、婚姻中に築き上げた財産は、夫婦の共有財産の対象になりますから、その預金は財産分与の対象になります。

その共有財産を原資に、残債の弁済に充てることになるので、実質的には夫は損をするわけではなくなります。

名義が夫の預金から引き出した場合、夫が損をするように見えますが、その預金は実質夫婦の共有財産ですから、そこから出金したということは、夫婦が折半したと考えると、相手方に弁済の半額を負担させたと同じ効果があるわけです。

もし現預金が全くなくて、夫の固有財産、例えば相続で得た資金を原資に弁済したならば別途請求ができる可能性はあります。

ただし、それまでの相手方とのやり取りや合意内容によっては請求が認められないこともあります。

相手が請求に納得しない場合は、裁判で決着をつけることになります。

124.離婚で不動産を売却。売却損が出た場合、そのマイナス分を夫婦で半分ずつ負担するようにする事は可能ですか?

 

 

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