家の買い替えのタイミングについて。ローンが残った家が売れる前に新居を買うのはOK?
住宅の買い替えはタイミングが重要とよく言われます。
旧住居を売ることを先にして、その後に新住居を購入する方法を「売り先行」、逆に、先に新住居を購入してから旧住居を売却する方法を「買い先行」といいます。
売却しないで次々ほしい物件が買えれば苦労はありませんが、そんな人は一握りです。
一般の家庭では、現在住んでいる自宅を売ってしまえば当面済むところが無くなってしまいます。
今回はローンが残っている物件の売却にあたって、先に新居の購入を進めるとした場合にはどんな障害があるのかや、逆にメリットはどんなものなのか見ていきましょう。
「買い替え特約」は仲介業者に嫌がられる
新規で購入する物件を見つけたが、購入資金は自宅を売却しないと捻出できない。
そういう場合は、「買い替え特約」と言われる条件を売買契約の際につけることができます。
「買い替え停止条件」とも言われるもので、つまり、住宅を購入するにあたって、一定期間内に自宅が希望価格で売れなければ、白紙で解約させて欲しい」と付け加えるものです。
こうすることによって、万一自宅が売れなかった場合でも、購入資金のない中で、無理やり住宅購入することを回避できるのです。
ただこの特約は、新たに買い換えを考えている人にとっては好都合な条件ですが、新しい住宅を売る立場の仲介業者にとってはやっかいなものになります。
というのも、せっかく家を買ってもらったと思っても、数ヶ月以内に現在の家が売れなければ、また振り出しに戻ってしまうわけですから、ありがたくないお客さんだと言えます。
物件によっては、最初から買い替え特約を断る業者もいますし、条件を認めてくれる業者であっても、なんとか現在の持ち家を売り切るために、相当安い価格設定で自宅を売りに出さなければならないこともあります。
また運良く売れた場合でも、決済や引っ越しのタイミングなど同時にやってくるので、かなりスケジュール的にもタイトになります。
従って、買い替え特約を付ける方法は、買い主にとっても売り主にとってもあまり好都合ではない条件と言えるでしょう。
買い先行はドキドキもの。新居購入費用の用意が必須
買い先行の場合、先に新居を購入するので、その費用を工面する必要があります。
新たにローンなどを組んで購入することがほとんどだと思いますので、返済計画に従って返済をしていかなければなりません。
この購入資金を、全て給料などの自己資金で賄えれば良いのですが、旧住居の売却代金をあてにしている場合はかなりのドキドキものです。
というのも、売却を依頼した仲介不動産業者は、査定額を提示はしてくれるものの、実際に売れる値段はそうなるとは限らないからです。
思った額で売れなかった場合は、新居のローン返済にあてる資金に支障が出ることもあり得ますし、最悪買い手がつかないなどという事態も可能性としてはあるわけです。
自宅が売れなければ資金ができず、購入できなくなっていまうどころか、契約してから自宅が売れないでは、違約金も発生してしまいかねません。
こういったことを心配しなくて済むようにするには、新居の購入に充てる資金のなかで、旧住居の売却代金が占める割合をできるだけ減らし、資金的に十分な安全を確保したうえで話を進める必要があります。
旧住宅に残った住宅ローンを一括返済!できるだけ高値で売る
旧住宅の残ローンは一括返済しないといけませんから、売却にあたってはできるだけ高値で売る必要があります。
残ローンの金額にもよりますが、一般的に家屋は希望よりも高く売るのは難しいので、残ローンを賄えないこともあります。
その場合は自己資金を投入して完済しなければならないのが基本です。
ただし、買い替えにあたって買い替えローンを利用する場合は、旧住宅のローン完済を待たずに新居の購入をすることも可能です。
買い替えローン審査が通れば、一括返済を免れる
審査に通る必要がありますが、旧住宅の購入に際して利用した銀行とかけあって、新居購入にあたって買い替えローンの利用を検討することができます。
これは、新居購入のローン費用に、現在の住居の残債を上乗せするというものです。
上手くいけば、旧住居のローンを新居のローンに組み込んで一本化することで、旧住宅のローン返済資金の支弁をせずに済みます。
また、銀行の借入限度額を超えて借りられる可能性もあります。
こうすれば買い先行の場合でも新居購入の資金、旧住居の残ローンの支払いの現預金が足りなくても買い替えが可能です。
先に自宅を売却して住み替え物件を探すパターン
自宅が売れてもないのに買ってしまっては不安・・・。そう思う人も多いかと思います。
そういった場合には、自宅売却を確定させてから新規物件を探す方法をとるのがベターです。
ただし、あなたの自宅を買いたいと言った人が現れてから短期間で希望物件を探す必要があります。
つまり、自宅の売却契約をして3ヶ月~6ヶ月以内に希望物件を探して、ローンの段取りを組んで、自宅と同時に決済まで行うため、少々ハードスケジュールにはなります。
新規に取得した住宅の支払いの不安がないというメリットがある反面、デメリットもあります。
それは、あなたの持ち家を買いたいという希望者に決済と、引っ越しを待ってもらう必要があります。
売れたはいいけど住むところがないというわけにはいけませんから、新たに引っ越しする時まで、決済は先延ばしです。
そういった条件を嫌がる買い主もいるでしょうし、何より、自分の成果が先延ばしになるので、仲介業者の営業マンが嫌がる場合もあります。
そのため、結果的に安く売りに出さざるをえないケースもあります。
安心して住み替えたい・売るのが難しい物件を持ってる人向きの方法
自宅売却を先に済ませてから、住み替え先を探す方法は、少々安くてもいいから安心して住み替えたいという人向けの住替え方法になります。
また、そうでなくても、売りにくい物件を持っている人にもこの方法は適しています。
- 日当たりが悪い
- マンションの1階
- 駅から遠い
これらは、ネットの住宅情報サイトでも、検索にヒットしにくいため、物件自体が良好でも、人気が薄い場合が多いです。
こういった物件をお持ちの方はが先に、住み替え物件を探してから自宅を売却しようとすると、安値で買い叩かれるということもありえますので注意しましょう。
まとめ:焦って取引しないのが、上手な住み替えのコツ
- 先に引越し先を決めると、自宅が売れるか不安。
- 先に自宅を売ってしまうと、短期間で引越し先を決めてしまわないといけない。
片方を取れば、もう片方が落ちます。両方をうまくいいとこ取りしようというのは、なかなか難しい物があります。
そういった不安や不満を一気に解消する手段としては、一旦賃貸に移ってしまうという方法があります。
2度も引っ越しするの?と手間やコストが気になるかもしれませんが、住む期間によっては礼金などは交渉次第ですし、綺麗に使えば敷金は戻ってきます。
引っ越し前提で賃貸に住むのであれば、スグに使わないものは、ダンボールのままでもOKですね。
発生するのは、引っ越し費用と家賃程度ですが、その分、住替えの手続きを急ぐ必要がなくなるため、慌てて売ろうとして買い叩かれる心配もありません。
そのことを考えれば、家賃などは安いものです。
不動産売買において、焦りは絶対に禁物です。
注文住宅を買う場合など、工事を急がせれば欠陥住宅を作りかねません。
この先一生住むかもしれない家を買うのですから、一旦賃貸住宅に移って、じっくり次のタイミングを待つというくらいの心構えで望んでも良いのではないでしょうか。