認知症の祖父の不動産を売却したい。売却益は祖母が受け取ると主張しているケース

104.祖父の土地を売却

現在の日本は、若い世代と高齢者世代とで、財産の保有率がアンバランスになっていると言われています。

高齢者世代に財産が偏っている状態ということです。

土地や建物などの不動産につていてもその通りで、とかく高齢者世代の不動産関係の取引や処分には、トラブルや悩みがつきものになります。

今回は祖父の土地を売却したいが、当人が認知症であり、配偶者である祖母が売却益の受け取りを要望しているという場合にどうすれば良いかを考えてみましょう。

当人が認知症の場合は委任状は使えない

当人の判断能力に衰えが無く、単に忙しくて取引実務にあたれないとか、遠方に住んでいるなどの理由であれば、当人の意思によって、売却代金の受領を委任する旨の委任状があれば、当人以外の者がその任に当たることができます。

しかし、今回は、当人の判断能力が著しく落ちてしまう認知症を発症しているため、委任状の作成能力もないので、この方法は使えません。

当人に知らせることのないまま、勝手に委任状を作成するのは、違法なことになりますので、絶対に止めましょう。

現状の名義が祖父である以上、法律的には、売却代金の受領やその使い道の設定は、祖父に権限があります。

しかし、当の本人は、不動産の売却も代金の受領もできない状態ですので、家族親族が代わって代行してあげたいところですね。

今回、最も現実的なのは、成年後見制度を利用した売却でしょう。

任意後見制度とは

判断能力が落ちた当人に代わって、後見人が様々な手続きを代理できるこの制度を利用すれば、祖父の代わりに土地を売却し、その代金の受領も可能になります。

家庭裁判所に申し立て、祖母を祖父の後見人とし、さらに土地売却の許可を申し立てて、その許可が下りれば売却手続きが可能になります。

しかしその際、家庭裁判所は、土地の売却が当人である祖父のためになるのかどうかを判定しますので、生活費に充てるとか、老人ホームへ入居するからといった具体的な理由が必要になります。

当人である祖父の利益にならないと判断された時は、売却が認められない場合もありますので、ご注意ください。

名義変更はどうか?

祖父から配偶者である祖母へ名義変更すれば、スムーズではないかと思うかもしれませんが、名義変更というのは実は財産の「贈与」として扱われるので、税金が課せられてしまうことがあります。

配偶者の場合、居住用不動産であれば、婚姻歴20年以上など一定の条件をクリアすれば、最高2000万円までの財産について、配偶者控除の利用により、税金が課せられませんが、今現在すでに認知症を発症しているのですから、贈与についても祖父の意思が確認できなければ、基本的に不可能となります。

104.認知症の祖父の土地を売却したい。売却益は祖母が受け取ると主張しているケース

 

 

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